農業を始めますと、色々な方面から規模拡大への誘惑がやってきます。
うちは、経営農地1.1haで、そのうち、卒業生が使っているのが30a、いちじくが30a、いちごが5a、トマト2a、残りは育苗ハウスや農業塾の実習で使っています。
従って、実質農業経営で使っているのは40aほどになり、規模的には小規模農家の部類かなと思っています。そして、この農業経営と農業塾経営のミックス経営がうちの特徴です。
さて。
規模拡大の話ですが、「資本力がある企業で農業をする」というような場合を除いては、あまりお勧めしません。
今、世の中を見まわしますと「売り上げ何千万円、何億円」という数字が目に留まり、「売上を上げる事」こそが、あたかも良いことのように称賛される傾向があると感じます。
しかし、個人で就農する場合、本当に大切なのは「自身や家族の幸せ」なハズ。これを忘れないで欲しいと思います。
そして、数字で言えば、「農業で売上を拡大しようとすると、おのずと設備投資して規模拡大する必要がでてきます。」
これが1次産業の農業の特徴なのかも知れません。そうすると資金力が大事になってきます。逆に言えば、資金力があれば、売り上げを拡大する事はそれほどハードルが高いものではありません。
それよりも、難しいのは「利益を上げること」
まずは「小さな規模でも利益を最大化する事」に取り組んで欲しいと思います。その上での規模拡大なら、良いかなと思います。
例えば、いちご。
1パック350円で販売するのと700円で販売するのとを比べて、作るのに必要な経費は、おそらく大きく変わることはないでしょう。
当然、農家によって変わりますが、350円で販売する農家もきっと、一生懸命に作っているハズです。
でも、700円で販売できれば利益は単純に倍になります。
ここが考え方の一つの分岐点かも知れません。
350円での販売を前提に生産しようとするとどうしても規模拡大して量で勝負せざるを得なくなります。
一方、700円での販売を前提とすると、350円の場合の半分の生産量で済むことになります。
どちらの方向に行くか。これが問題。
今回のお話は、個人ならば、まずは後者で勝負すべきじゅやないかなということなんです。
ひとつひとつ丁寧に販売する事を考えて欲しいなと思います。
今の時代。日本は益々少子高齢化で人口は減る一方です。そして大量生産型の農業は資本力のある企業にはかないません。まして輸出とかは個人では勝負にならないかも知れません。
だから個人の方には絶対「利益追求型の農業」をお勧めします。